エリクソンのもとを、ある両親が訪ねてきました。両親は、絶望した様子でこう言いました。「私たちの6歳になる娘の盗みグセをなんとかしたいのです。あの子は、私たちの物を盗み、友達の物も盗んでしまいます。買い物にでかけると、お店の物も盗んでしまいます。ガールズキャンプに参加させると、ほかの子の名前が書かれたものでさえも持ち帰ってきてしまいました。そして、自分の都合のいいようなウソもつきます。自分の物だと言い張るんです。こんな幼いのに盗みグセがあってウソつきだなんて、私たちにはどうしたらいいのか全くわかりません。」
手紙は、このような内容でした。「親愛なるハイディ。あたしは、6歳のあんたを見守る妖精だよ。私は6歳のあんたのためにいて、それぞれのとしにひとりずつ妖精がいるんだよ。たぶん、あんたはあたしがどのような姿をしているかを知りたいだろうね。でも、だれもあたしを見た人はいないんだ。あんたも見たことはないだろう?あたしは三つも目があるんだ。だから、あたしはあなたのことならなんでも見えるし、知っているんだ。あたしは、あんたがいろいろなことをゆっくりと学んできたのを見てきたよ。あんたが、すごくたくさんのことを自分のやり方で学んできたことを、すごく嬉しく思っているよ。でも、難しいこともあるよね。それから、あたしには立派な耳もあるんだ。どんな音も聞くことができるように、いろいろな方向に耳を動かすことができるんだ。だから、あんたがお話ししたことや、何かをやっているときの物音もすべて聴きとることができるんだよ。あたしはなんでも知っているんだ。」
その後、ハイディの盗みグセがピタリと止んだと両親から報告がありました。
翌年、エリクソンはハイディから7歳の誕生日の招待状を受け取りました。しかし、出席は辞退しなければなりませんでした。なぜなら、エリクソンはハイディの6歳のための妖精だったからです。