皆さんは、ご自分が外向的な性格だと思いますか?それとも内向的だと思いますか?
私は、完全に内向的な性格です。
飲み会はたいていただただ疲れるだけの時間ですし、混雑している場所も苦手なので、人の多い街中やイベントなどにもあまり行きません。家の中で自分の時間を過ごしているときが至福の時です。
そんな内向的な自分が嫌になったときもあり、外交的な人が楽しそうにしているのをうらやましく思うこともあります。
なんとか外向的な性格になりたいと、無理やりパリピのような生活をしてみて撃沈したこともありました。
内向的であることに劣等感を感じ、肩身の狭い思いをしながら生活をしていました。
しかし、今回ご紹介する「内向型を強みにする」(著者:マーティ・O・レイニー)は、そんな内向的な性格の人々に勇気と癒しを与え、それでいいんだと思わせてもらえるような内容となっていますので、ご紹介させていただきたいと思います。
この本のテーマ
この本の著者である、マーティ・O・レイニーさんは、アメリカの心理療法士で、内向型人間に関する研究の第一人者です。本の執筆のほか、アメリカやカナダでワークショップや講演を行っています。
マーティさんご自身も内向型人間で、それゆえの居心地の悪さ、生きにくさ、外向的な夫と接する中での違和感を感じていたといいます。
しかし、心理療法士として学んでいくにつれて、内向型というのは生れもったただの性質であり、何ら恥じることも引け目に感じることもないと考えるようになったそうです。
この本は、内向型の人たちに向けて書かれており、、本来の自分とは違う人間になろうとすることはやめ、内向型人間について理解し、内向的であることを受け入れれば、心がずっと軽くなるということを教えてくれます。
内向的な人々に寄り添い、勇気を与えてくれる本です
この本が教えてくれること
① なぜ内向型人間は肩身の狭い思いをするのか
内向的な人々が、社会で生活をしていくうえで肩身の狭い思いをし、引け目を感じる理由は、世界の約75パーセントの人間が外向型で、その多数派である外向型人間が文化をつくってきたからだといいます。
② 内向型と外向型ではエネルギー源が違う
内向型と外向型の違いで最も顕著な特徴は、そのエネルギー源の違いだといいます。
それぞれのエネルギー源は次のとおりとなっているそうです。
〇 内向型:アイデア、感情、印象といった自分の中の世界
〇 外向型:様々な活動や人・場所・物といった外の世界
内向型の人は、外からの刺激に弱いのは、エネルギーを消耗するからなのです。
ですので、内向型の人は、自分を充電するために、エネルギーを使わない刺激の少ない環境で休息する必要があるのです。
また、内向型の人は、ただ人のそばにいるだけで刺激過剰となる可能性もあり、人ごみや騒がしい環境にいると、エネルギーが枯渇していってしまうのです。
③ 外向型の人は「広く浅く」、内向的な人は「狭く深く」
外向型の人は、たくさんの友達やたくさんの経験など、何ごとも広く浅く求める性質があり、すべてのことについて少しずつ知ることを求めています。
それに対し、内向型の人は、深さを好むため、自分自身で経験を制限するが、そのひとつひとつについて深さを感じようとします。友達も少ない場合が多いですが、より親密な付き合いをする傾向にあります。
④ 内向的=社交性が低いではない
内向型の人に対する偏見の代表的なものとして、「社交性が低い」というものがありますが、決して内向的だから社交性が低いとは限らないと語られています。
社交的な場で交わされる会話は、例えば最近のニュースや天気、スポーツなど軽いものが多いですが、これは会話という刺激自体を楽しむ外向型人間用のものであるため、深さや中身の濃さを求める内向型人間にとっては、興味を持てないものとなっている場合が多いのです。
確かに飲み会の場で適当に相づち打って内容を聞いていない自分に気づくことがあります(苦笑)
また、内向型の人は考えがある程度まとまってから話をする傾向にあるので、即興的に話すことが得意な外向型人間から見ると、寡黙と受け取られてしまいがちになります。
これは、良い悪いではなく、ただ単に社会とのかかわり方が違うというだけで、他人から非難される何ものでもないと筆者は強調しています。
⑤ 内向型と外向型の違いは「脳の働きの違い」による
最新の研究によると、内向型と外向型の違いは、脳内の神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン、アセチルコリン、ノルアドレナリン、エンドルフィンなど)の経路の違いであることがわかりました。
内向型の人は、外向型の人に比べて脳へ流れる血液量が多く、それだけ神経伝達物質による刺激を多く受けています。
また、内向型の人の脳内における神経伝達経路は、内部の思考や感情といった部分に集中する長く複雑な経路となっているのです。それに対し、外向型の人の経路は、視覚、聴覚、触覚、味覚が処理される脳の部分への流れが多く、彼らの主要な経路は短く、さほど複雑ではありませんでした。
外向型の人の経路は、主にドーパミンによって活性化されます。ですので、ドーパミンを分泌するような外的刺激を求めて行動するのです。
それに対して内向型の人は、ドーパミンの感受性が高いため、ドーパミンが過剰に分泌される環境に対しては、「刺激が強すぎる」と感じるのです。
内向型人間の脳の主要な経路は、アセチルコリンという神経伝達物質が使われています。アセチルコリンは、脳と身体の生命維持機能のかかわる重要な物質で、穏やかな覚醒状態の維持や、長期記憶の利用能力に影響を及ぼします。また、何かを考えたり感じたりしているときに、快感を引き起こす作用があります。
内向型の人は、穏やかな気持ちを保ち、不安や憂うつを感じないようにするために、適量のドーパミンと適量のアセチルコリンを必要とするのです。
だから外向的な人はドーパミンが出そうな場所や環境に行きたがるんですね。内向的な私が真似しようとしても、逆にひどく疲れてしまうのは、内向型人間の脳にとっては刺激が強すぎるからなんですね。
さいごに私の感想など
この本では、ほかにも、科学的な観点から見た内向型と外向型との違いや、内向型人間の特徴とシチュエーションごとの立ち振る舞い方などがさらに詳しく解説されていて、内向型人間である私にとって大変興味深いものばかりでした。
冒頭でも書いたように、私は自分が内向的な性格であることについて、引け目に感じ、時には罪悪感といってもいい感情を抱くことも少なくはありませんでしたし、それも原因で自分を好きになることもできずにいました。
しかし、この本を読んだことで、内向型と外向型の違いは、「生まれもった脳の働きの違い」であることを知ることができ、今の自分を受け入れてあげようという気持ちになりましたし、自分の部屋で静かに過ごすことにも罪悪感を感じにくくなりました。
本全体に流れる、「あなたはそのままでいい」というメッセージに勇気と癒しをもらうことができました。
興味のある方は、ぜひ全編をお読みいただくことをお勧めします。
なお、これをお読みになっている外向型の方は、周りにいる内向的な人を単に「変な奴」と受け止めず、自分とは脳の構造とエネルギーの充電方法が違うということを理解いただいたうえで、温かい目で見守っていただけると幸いです(笑)。